3回転職した私が今から転職するならどうするか?転職活動の始め方は?

ベンチャー転職に限らず、初めての転職活動は何をやったらいいかわからない人が多いと思います。私もそうでした。
なぜなら、新卒一括採用の就職活動と違って、スケジュールが決まっているわけでもないですし、周りで転職活動をしている人も少ないので、相談できる相手や参考にできる人があまりいないからです。
この記事では、過去3回転職活動をして、今はベンチャー企業で経営幹部として働いている私が、今から転職活動をするとしたら、どういうステップで進めていくか、解説したいと思います。
転職活動は人それぞれ個別の事情や背景があると思いますが、一つの参考例にしてもらえると嬉しいです。

① 自己分析

まずは「なぜ転職したいのか」を明確にします。転職の目的とも言い換えられます。
ここを明確にしておかないと、転職活動を続けていく中で今後の行動がぶれてきて、収拾がつかなくなります。
転職の目的としては、

  • 年収を上げたい
  • ワークライフバランスを充実させたい
  • 別の仕事をしたい
  • 今の環境を変えたい

など様々なものがあると思いますが、すべてを叶えることはかなり難しいです。そのため、「なぜ転職したいのか」の優先順位を明確にしておくとよいでしょう。
私の場合は、最初の転職は「年収を上げたい」でしたが、次の転職は「将来を考えて別の仕事をしたい」でした。

② 現職の状況を確認

現職が忙しすぎると転職活動に集中できません
転職活動は就職活動と違って、時間に余裕がなく、現職の仕事で忙しい合間を縫って転職エージェントに会ったり、面接対策をして実際に面接したりします。
現職の仕事が忙しすぎると、せっかくいい転職案件があっても応募して面接を受けることができなかったり、何よりしっかりと企業分析や業界分析ができないために、面接で実力が発揮できないことになってしまいます。
就職活動と違って、採用枠はとても少ない(枠が1つのことも多い)のでそれを逃してしまうと同じ案件は出てきません。
最低でも1~3ヶ月くらいは転職活動に割ける期間を確保できるようにしたほうがよいです。

③ 転職サイト・転職エージェントの選別

転職サイトや転職エージェントにはできるだけ多く登録するのがよいと思います。
多く登録すると管理が大変という声もありますが、転職サイトや転職エージェントはそれぞれ特徴があり、人によって合う合わないが顕著に現れます
それぞれの違いを体験してみないと、どれが自分に合っているのかわかりません。
また、もし知り合いの会社に転職したい場合は、知り合いから紹介してもらうのもいいでしょう。
特にベンチャー転職の場合は、リファラル採用をしているところも多く、知り合いからの紹介は入社しやすくなっています

④ これまでの職歴・実績の整理

これまでの自分の仕事や実績について振り返ってみましょう。自分は「何をしてきたのか」「何ができるのか」を明確にしていきます。
「キャリアの棚卸し」とも言いますが、これについては時間をかけて実施することをおすすめします。
転職エージェントと面談するとき、職務経歴書・履歴書を書くとき、採用面接を受けるときなど、転職活動全般にわたって武器になります。

⑤ 転職エージェントと面談

ビズリーチ、リクルート、マイナビ等の転職サイト/転職エージェントに登録すると、案件紹介のメッセージが来るので、気になったエージェントと面談してみましょう。
また、業界特化の転職エージェントに直接登録して面談してみるのも良いかと思います。
転職エージェントはかなりの人数がいますので、「人として信頼できそうか」「自分の人生を任せても大丈夫か」の視点で選ぶことをおすすめします。私は、20~30人くらいの転職エージェントと面談を実施して、2~3人くらいの信頼できる、頼りになる転職エージェントの方を見つけました。

⑥ 転職エージェントに候補企業を紹介してもらう

転職エージェントと面談して、転職の希望条件を伝えた後は、転職候補企業を紹介してもらいましょう。
ここで重要なのは、できるだけ幅広く候補企業を出してもらう、ということです。
特に転職が初めてのケースでは、自分の知らない業界や会社がたくさんあるものです。
業界や会社の希望があったとしても、決め打ちせずにまずは幅広に候補企業を検討してみましょう。
どのような求人があるのかという生の情報をネットで得ることには限界があるので、ここはプロの転職エージェントに出してもらうのがおすすめです。
ここで、転職候補企業の入社難易度や、過去に入社した人がどのような人だったか、といった情報も聞いてみましょう。
また、気になっている企業があれば、求人がないか転職エージェントに確認するのもOKです。
この時点で今の自分が転職できそうな会社、いわゆる自分の市場価値がわかります。

⑦ 業界分析・企業分析

まずは、受ける予定の会社ホームページを見てみましょう。
上場している会社であれば、IR資料、決算説明資料が掲載されているので過去1年分くらいを読んでみることをおすすめします。
ベンチャー企業であれば未上場の会社も多いですが、ホームページにはサービス紹介や幹部の紹介、採用情報など最近は結構内容を充実させている企業が多いです。
会社の内部の情報を知りたければ、知り合いがいればその人から聞き、いなければ「OpenWork」や「転職会議」で口コミを見てみると良いでしょう。
口コミの詳細を見るためには課金が必要ですが、私は転職活動中の数カ月間だけ課金して使っていました。
業界分析は、受ける会社の属している業界が成長しているのか、どのような顧客課題を解決しているのか、を中心に調べていきましょう。
また、受ける会社のライバル関係にありそうな会社も同時に調べておくとよいと思います。

⑧ 職務経歴書・履歴書の作成

履歴書よりも職務経歴書のほうが非常に大切です。
職務経歴書は時間をかけてしっかり作成したほうがよいでしょう。
私も採用側の立場では、職務経歴書のほうをしっかり見ます
候補者が「これまで何をしてきたのか」「何ができるのか」が分かるからです。
転職エージェントに見てもらって添削をお願いしたり、転職経験者に見てもらって感想を聞くのもおすすめします。

⑨ 気になる企業に応募する

気になる企業にはすべて応募してみましょう
応募するのにお金がかかるわけでもありませんし、そもそも書類選考に受かるかどうかも分かりません。
就職活動のときも、数多く応募したと思います。転職活動でも同じで、可能性を広げるためにも幅広にアプローチしましょう。
そして難易度にもよりますが、書類通過率はそれほど高くありません
企業側からすると、数少ない採用枠・ポジションに大量のアプローチが来るわけで、企業側のほしい人材像にマッチしない候補者はそもそも面接している時間と余裕がないからです。
そのため、書類が通過しなかったからといって落ち込む必要はありません。たまたま欲しい人材像にマッチしなかっただけで、能力やスキルだけで書類選考しているわけではないからです。

⑩ 書類選考を通過した企業の選定

いくつか書類選考を通過したならば、実際に面接を受ける会社は5社以内にすることをおすすめします。
5社より多くして10社一気に受けよう!とすると日程調整や面接の準備にかなり忙しくなり、どの会社も中途半端な準備になってしまいます。
そうすると、本命の会社にも受からなくなってしまいます
また、書類選考を通過した会社は自分が本当に行きたかった会社なのか、もう一度考えてみるのがよいでしょう。
その会社に行きたかった理由を振り返り、転職後の仕事内容を思い浮かべてみて、本当に行きたい会社なのか深掘りしてみてください
ここで、少しでも行きたくない理由があったり、自分の本心と異なることが思い浮かぶ場合は、妥協しないほうがいいです。
私の経験上、転職後に絶対後悔します。

⑪ Web試験の準備

面接の前にWeb試験を課される会社も一定数あります。
SPIなどのIQテストが一般的ですが、性格診断テストの場合もあります。
Web試験があるのかどうかは、事前に転職エージェントに確認しておきましょう
ベンチャー企業ではほとんどの場合、Web試験はありません。
ある程度まとまった人数の転職者を受け入れる大企業が、Web試験を実施しているイメージです。

⑫ 面接の日程調整

面接の準備期間、現職の仕事の状況を考慮して面接の日程調整をしましょう。
面接の準備をせずに面接に挑むのは絶対NGです。
また、現職の仕事に余裕がないと、転職先の面接日に忙しくて行けなくなってしまった、というようなことになります。
そして、複数社の面接を受ける場合には、受ける順番も大切です。
いきなり第1志望の会社の面接を受けるようなことはやめてください
面接にはある程度の「慣れ」も必要なので、慣れてきた段階で第1志望の会社を受けましょう。
また、できるだけ複数社の面接は同時並行で進めることをおすすめします。
とても忙しくなり大変ですが、内定オファーのタイミングを合わせることができ、自分として最良の選択ができるようになります。
さらに、複数の面接が進行中であることをアピールすることで、企業側と条件交渉もできるようになります。

⑬ 面接の準備

転職の成功のためには、この「面接の準備」が最も大切です。十分に時間をかけましょう。
準備がしっかりできたかどうかで、面接の結果が決まってきます。
企業分析、業界分析をしっかり行い、特徴を頭にインプットしておきましょう。
また、想定質問も事前に作成しておき、どのように答えるかもシミュレーションしておくこをとおすすめします。
想定質問はエージェントに聞けば出してもらえますし、それに対する回答はエージェントに添削してもらうと良いでしょう。
転職経験者にも見てもらうと完璧です。
できれば、親しい友人や転職経験者、家族などと面接の練習を何回かして、言葉に詰まらず回答できるようにしておくと、さらに良いでしょう。
コンサルを受ける場合は、ケース面接の対策も必須です。ケース面接の対策本を読んで自習した上で、コンサル専門のエージェントと面接対策をするのが最短ルートです。
ケース問題は一見すると難しく感じるかもしれませんが、対策をすれば誰でもできるようになります。

⑭ 面接

対面であれば必ず早め(15分前)に着くようにしましょう。ギリギリに着くと心に余裕がなくなり、受かる面接も受からなくなってしまいます。
早めに着いて、もう一度想定質問と回答を頭の中でシミュレーションしておきましょう。
また、当日に急遽面接担当者が変更になることもあるので注意してください。
私も部長面接と聞いていたのにいきなり役員や社長面接になったり、その逆のパターンもありました。

⑮ 面接後の記録

面接が終わったら、必ず「どのようなことを聞かれたか」「どのように回答したか」をメモしておきましょう。
次回の面接や、今後の別の会社の面接に活かすためです。
私の場合は、面接後は必ず近くのカフェで1時間くらい時間をかけて、面接内容をメモしておきました。
人間はどうしても忘れてしまうものですし、記録に残しておかないとPDCAも回せなくなってしまいます。

⑯ 最終面接の日程調整

複数社の面接を同時並行で進めていくと、最終面接の日程もだいたい同じタイミングになると思いますが、会社によってはズレてくるところも出てきます。
ただ、内定オファーを受けるタイミングはなるべく合わせたいので、無理のない範囲でできるだけ最終面接の日程も各社で合わせるようにしましょう。

⑰ リファレンスチェック

最近、特にベンチャー企業や社歴の浅い会社では、「リファレンスチェック」を実施している会社が増えてきています。
リファレンスチェックとは、経歴照会や身元照会のことで、転職候補者の能力や性格が合っているのか、転職経験者の周りの人(前職の上司や同僚など)にヒアリングして確認することです。
転職先の会社が直接ヒアリングするのではなく、リファレンスチェックを専門にやっている会社経由でヒアリングが行われます。
ここで重要なのは、ポジティブに評価してくれそうな人を選ぶことです。正直に自分の直属の上司を選ぶ必要はありません。少し離れている部署であっても、自分とは気が合う、しっかり評価してくれている人をヒアリング対象者に指定しましょう。
基本的にリファレンスチェックで落とすことはないのですが、面接で言っていたことと、前職の上司や同僚からのヒアリング内容があまりにもかけ離れている場合は採用が見送られるケースもあります

⑱ オファー面談

基本的には面接ではありませんので、面談内容は選考に影響しないはずですが、油断は禁物です。
ただ、私は過去に「オファー面談」とのことで、転職先の役員と面談したのですが、そこで志望動機、過去の実績、これからどのように貢献できるのか等を詰められた経験があります(結果的にはちゃんと内定をもらえました)。
また、オファー面談での態度が悪かったりすると、その評価は社内で間違いなく共有されるのでやはり油断せずしっかり対応しておきましょう。
オファー面談では、入社前後で気になることは全て聞いておくことをおすすめします。
また、内定・入社に至る今後の流れも確認しておきましょう。
オファー面談では、年収も同時に提示されることもありますし、されないこともあります。いずれにせよ、年収の交渉を会社と直接することは、印象が悪くなるので避けてください
年収交渉は、転職エージェント経由でしてもらうことをおすすめします
また、内定を数多くもらうこともできれば避けたほうがよいです。どうしても迷っている会社がある場合であっても、内定は2社までにしましょう
就職活動と違って、そもそも採用枠が多くあるわけではありませんし、複数の内定を取ったとしても実際に入社できる会社は1社のみです。
第一志望の会社の内定が取れたら、現職で退職報告をして退職日を調整しましょう。

⑲ 退職交渉

現職に退職報告をすると、すんなり受け入れてくれる場合と、引き止められる場合があります。
私は、両方とも経験しましたが、結論から言うと引き止められても絶対に現職の会社に残ってはいけません
そもそも引き止められて迷うくらいならば、転職先に行っても活躍することは難しいと思います。
もしカウンターオファーで現職の会社が高い年収を提示してきたとしても、それでも残る選択はおすすめしません。
会社側としては、「いつかは転職しようと思っている人」に重要な仕事を任せようとはしないので、本人の成長の機会が失われる可能性が高いからです。
特に新卒で入社してから長く勤務してきた会社では、引き止め交渉をしてくる可能性が高いですが、上述の理由の通り残ってもいいことはありませんので、退職に向けて丁寧に交渉していきましょう。
「丁寧に」としたのは、「退職するんだから話し合い等必要ないだろう」のような態度での交渉はやめましょう
仕事をしていくと、将来どこでどうつながるかは分かりませんので、遺恨を残さない姿勢が大事です。

⑳ 転職先の確定

入社日までに必要な手続きを確認しておきましょう。いろいろと必要な書類を求められます。
現在の年収を証明する書類を求められることもありますので、面接などで年収を「盛って」言ってしまうとあとでウソがバレます。
また、面接が進んでいる途中で求められることもありますので、注意が必要です。
会社によっては、入社前の研修があるところもありますので、確認しておきましょう。
連絡を取る担当者は、人事部の人であることが多いですが、丁寧にかつスピード感をもって対応するようにしましょう。

㉑ 退職

退職する側の現職でも、必要な手続きが諸々あるのでしっかり確認しておきましょう。
賞与(ボーナス)やインセンティブの支払いは、揉めることが多いので双方の認識を合わせておく必要があります。
また、残った期間も仕事はしっかりと進めましょう。どうせ辞めるからと言って、投げやりに仕事をするのはNGです。
出社最終日から実際の退職日までは、有給休暇の消化期間になることが一般的です。
有給消化度合いにもよりますが、2週間程度はあると思うのでこの期間にやりたいことはやっておきましょう。
私は3回転職していますが、毎回必ず海外旅行をしています。社会人になるとなかなか長期の休みは取れないので貴重な時間です。

㉒ 入社

転職が成功して晴れて入社することになりますが、ここからが本当のスタートです。
受け入れ側としては、新卒社員とは違い基本的に即戦力として期待しています。
何か業務指示があるだろう、などと受身の姿勢ではなく主体的、積極的に行動していきましょう。
まずは、一緒に仕事をしていく周囲の人の名前をいち早く覚えていき、コミュニケーションを取ることをおすすめします。
入社前に、入社後の100日プランを作成しておくと、ただ漫然と働くよりもスムーズに会社に溶け込んでいけるでしょう。
今後、会社で活躍できるかは最初の3ヶ月で決まると言っても過言ではないので、まずは3ヶ月間必死に仕事に邁進し、コミュニケーションを深めていくとよいと思います。

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